コラム/建築革命宣言!
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第9回

創造法〜ベンチャー認定 山中省吾 1999.07.14

通産省がベンチャー支援のために作った法律、創造法は各県が窓口となって認定します。オープンネット(株)の事業計画を練っていた時から気になっていたので、県のほうに問い合わせをしたところ、すぐ担当の方が見えられました。

「これはおもしろい。是非申請してみてください」
「認定を受けると、どんないいことがあるのですか?」
「県が債務保証をするのでVC(ベンチャーキャピタル)の投資を受けやすくなります」
「VCの投資はすでに内諾を受けているのですが…」
「補助金が利用できます…」 「申請したら通るのでしょうか?」
「自分たち技術者は素晴らしいプランだと評価していますが、審査をする人は事務官なので…確約は出来ません」
と。 オープンネット設立の準備で忙しかったのですが、申請してみることにしました。

創造法認定の申請書式は誰が考えたのでしょうか。製造業しか念頭に置いてないように感じました。もっとも、あらゆる業態を想定した書式というのも、また難しいことのなのでしょうが・・・。
書式を埋めるのに、けっこう苦労をしました。項目を無理に埋めていかなければならないので、ちょっと「こじつけ」みたいにまりました。例えば、経営の理念という項目に、経過、現在の課題、将来の目標を記入する欄があります。理念というのは、過去も現在も未来も変わらないのが理念だと理解していたので、このような項目を埋めるのは少し労苦しました。

昨年(平成10年)の12月に審議会がありました。審議委員のかたには事前に資料が渡っています。審議委員長のあいさつ、担当の技術者のかたから10分程度の経過説明、そして申請者である私が事業内容について持ち時間30分で説明、そのあとに質疑。質疑はけっこう盛り上がりました、というのも変ですね、白熱した議論が交わされました。1時間くらいは続いたでしょうか。

「設計事務所が工務店になるということでしょうか?」
「いいえ、そうではなくて…請負いをしないので工務店とは違います」
「設計事務所に工事管理ができるのですか?」
「できます。しようとしなかったから業界がおかしくなったのです」
「設計事務所にコストのことなど分かるはずないでしょう?」
「分かります。分かろうとしなかったから業界がおかしくなったのです」。

時間を大幅にオーバーして、控え室で待たされました。認定するかどうかの協議に入ったようです。いつもなら10分程度で結論がでるらしいのですが、どうやら、もめているようです。やっと、係の人が伝えにきました。きわめてまれなケースなのですが、結論は持ち越し。審議委員はこの件について再度勉強するとのこと。

審議持ち越しの理由は、
@ オープンネットと従来の施工会社の相違点が不明確
A 既存の業界に与えるインパクトが大きい。
すこし失望、すこし立腹。でも私は、切り替えも早いから…。気持ちはすでに年明けのプレス発表に。

ごうぎんキャピタルの中ノ森部長は楽しそうに、「良かったじゃない。それだけギョウカイが怖がっているということだから」。彼はなかなかの人物。見かけは私より年上ですが、まだ40代前半。いいハート(度胸)の持主です。監査法人トーマツの今岡さんは、見かけは中ノ森さんと正反対、優しそうなお兄さんです。眸の奥に諸葛公明のような明晰な知性を感じます。年齢は不肖です。お二方ともまだ一緒に酒を飲んだことがありません。本性を見たいものです。いつか、機会があればしこたま飲ませてみたいものです。

話題がそれましたが、本年3月に認定した旨の連絡がきました。建築課や土木課などにも振って、問題点をいろいろと協議したようです。認定を受けたからといって、オープンネットの中身が変わるわけではありません。ひとつひとつ構築していくしかありません。
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