コラム/建築革命宣言!
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第13回

ゲイジツとゲンジツ 足立透 1999.08.15

どもこんにちは。足立です。
今、お盆休みですが、FTP出来るのをいいことに自宅からコラムを書いています。

先日、東京から有賀也寸志さんと言う彫刻家の方が米子に来られました。彼は木を主な材料にして様々な彫刻活動をしておられます。ゲイジツとは無縁な生活をしている私といたしましても、煮干しの彫刻などを実際に見せられると妙に納得したりしてしまいます。実物は意外にでかかったりするのでちょっとびっくりします。実際の煮干しはイワシですが、有賀さんの煮干しは、でかい錦鯉くらいあります。 なぜ、お盆休みに突然有賀さんの紹介コラムを書いているのかというと、約束していたのです。有賀さんと。 うちのwebで紹介しますからね〜。写真も取らしてくださいね〜。と調子の良いことを言って、今の今まで失念していたのです。お休みと言っても私には特に何もする事が無いので、日がなぶらぶらしており、茫洋としている頭の中で色々な事象をぐるぐる回していたのですが、何か引っかかることがある事に気づき、それが先程明らかになった訳です。有賀さんごめんなさい。


有賀さんに取付けてもらった作品
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その日は、社長も出張でいないし、体調も良くないので早く帰ろうと思っていました。
そこに電話がかかってきました。
米山ですけど社長います?」
知る人ぞ知る社長の悪友です。
社長が出張中でいない事を告げると、
「ありがさん来てるから足立さん来ない?」
「ありがさん?彫刻家のあるがさんですか?」
「そうそう。その有賀さん。来る?」
0.3秒考えました。
「行きます。」

約束の時間に米山さんの事務所につきました。賃貸のコーポを改造して(いいのか?)床・壁などに天然木を張り巡らしてある事務所内に妙な座卓が置いてあります。
「これ有賀さんの作品。」
「・・・」
普通のテーブルと言うのは、台面が水平なものです。そうでないと上に置いたビールも、ご飯も、たくあんも、からしめんたいこも、みそ汁も、出前一丁も、すべからく落ちてしまうからです。アインシュタインの相対性理論がハバをきかせている現代でもニュートン力学は働いている訳です。

「これ、あえて平面にしていないのですか?」
「そうです。これでも使えますよ。」
フロから出てきた有賀さんが答えます。
有賀さんの座卓は平面では無く、有賀さんの手によって三次曲面に仕上げられていたのでした。
「大丈夫大丈夫。ほらこの辺に乗せればいいんだ。」
米山さんが冷蔵庫から出してきたビールをテーブルに乗せます。
「あれ?乗りますね。」

「有賀さんのコップはここね。」
「ははあ。なるほど。じゃあ、米山さんのコップはここですね。」
「足立さんはここ。」
「これうまそうやろ。トロやで。これはここね。」
「意外と載るもんですね。」
確かに、ビールのカンも、それぞれのコップも微妙な角度を伴ってテーブルに乗りました。
「結構微妙ですね。」
「そうそう。でもここは乗せたらダメだよ。」
「ほんとだ。さすがにここはダメですね。」
「うんうん。ここはダメだ。」
「でもだんだん酔っぱらってきたら、置いちゃうかもしれないですね。」
「その場合はこぼれる訳だな。」
「酔ってきても、どこかに冷静な部分を残しておいて置かないようにコントロールしないといけない訳ですね。」
「そういう事だな。」
「・・・無理ですね。」
「ああ。無理だ。」

その夜は、そのあと米子の銀座と呼ばれているアナザーワールド「朝日町」へ繰り出し、二軒程ハシゴしました。といっても私は全く酒が飲めないので米山さん持参の「パイロゲン(酢)」をしこたま飲みました。

翌日、前夜に話題になっていた「ある内容」を確認するため、有賀さんと米山さんが当社に来られました。「ある内容」は色々問題を含んでいるため秘密です。目的を達成された有賀さんに、
「そういえば、昨夜、作品をうちの事務所に置いて行ってくれるとゆうてはりましたね。」
「そういえば、そんなことを言いましたね。」
「どれを置いていってもらえます?」
半ば強引に有賀さんの車を物色して作品を選び、事務所の壁に取付けてもらいました。
「じゃあ、お礼に当社のwebで有賀さんの紹介をしましょう。写真も取らせてね。」
ということで冒頭の件となった訳です。
有賀さんを中心とした小品展が8/23〜28東京銀座で開催されます。時間がある方はのぞいてあげてください。実物の有賀さんに会うこともできます。詳細は有賀さんのページで紹介されています。
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