コラム/建築革命宣言!
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第24回“自然のシステムに適う”オープンシステム アーンド設計集団(株)上田恵三 2000.06.06

環境・人にやさしく、先ず「できることから」
我社は4〜5年程前から、「できること」からエコロジーな住まいに真剣に取組んできました。当初は節のある自然の無垢板材などを如何に建築主さんに使っていただくか色々苦慮しました。本物の板材は張手間も掛かり、木の良さを発揮するには木にとってもいい環境にしたいし、塗装なども考慮する必要がありますから、何かと新建材の空間より高価になります。如何に低価格で提案できるかも重要な課題でした。エコロジー全般について建設会社や職人さんに理解してもらうことでも現場毎の苦労もありました。

オープンシステムで「できること」が拡大
一昨年6月にオープンシステムを知り、これなら悶々としてきたことが解消される、現場監督など無駄な介在が無いこと、流通面でも無駄が少ない、あらゆる面で我々の願いが実現しやすいと観じました。躊躇することなく、入会をお願いしました。1棟目の完成までに1年余りかかりましたが、お蔭で説明のしやすい環境に変わりました。澄んだシステム、工事が済んで、関係者も住んだ人にもこのシステムがますますエコロジーに適い、本質的な良さが相乗的な効果もあることを実感しています。自然の仕組はシンプルで無駄なく循環しています。私にとってオープンシステムは革命でもありますが、ますます自然に適っていく感覚です。自然に適った「できること」が拡大し、進化すればより一層シンプルになるはずです。

何に基づいて判断,選択するか

自然の無垢板の長所には枚挙に暇がありません。新建材の複合合板は外観や便利さなどの長所はありますが、相対的、部分的な価値で比較判断すると本質的な価値を見失いがちになります。何をモノサシにして計るかによっては多種多様な数え切れないほどの答えがあります。見た目の良さ、掃除のしやすさ、企業にとって便利な価値観、経済の発展に都合の良い価値基準などを優先で選択された多くが地球環境、室内環境、人間の生理的環境も汚染し、今や複合的な汚染になり対応が難しくなってきました。相対的、部分的価値よりもっとエコロジーな生態環境のような普遍的で純粋な仕組を基準に判断、選択することが重要ではないでしょうか。自然の仕組はシンプルで互いがあるがままに存在するだけで共存し、無駄なく、エゴなく、単純で明快だから子供ほどよく理解するのではないでしょうか。

生態系には過剰な愛情はなく、"愛"で成立っている

自然界では必要以上の食事は取りませんし、子が独り立ちできる時期には親離れします。過剰な愛情や無駄がありません。施主自身で「できること」や依頼もしない情で過剰な便利さ、快適さを提供することは自然の仕組には無い過ぎた愛情です。オープンシステムの真の良さは"愛"そのものが基本のように思います。情は心が青いと書きますから、初期段階では情も大切なことですが、多くの建築の中には不必要な「情」が沢山あります。施主が建築に積極的参加して「できることはやる」自然では当たり前のことです。自分の住まいは人任せにせず、できるだけ施主自身で実態を体感し、建てながら自ら「きづく」ことが本当の建築の主で、自然です。参加するほどに住まいへの愛着度は必然的に異なり、感激度も全く違います。「言うは易し行うは難し」私にとっても課題です。常に愛で振返ることが必要です。建築も登山も体験しない人には頂上(完成)の充足感は味わえません。
「できる」範囲は我慢することはなく、実は愉しむことになります。

自然に則しているから低コストは必然

どの建築主さんにも「ご自身でできることはやりませんか、その分相応な恩恵が加算され
ます」とお話します。現場も自然に適えば,無駄なく活気もあり、材料があって職人さんが居れば工事は進みます。大企業ほど不特定多数を対象にした愛情本位の仕組の傾向になり、流通経費も大きく、ニーズに対応しにくい複雑な体質や枠組があります。中間流通の少ない材料や製品ほど交渉も単純で無駄なく効率的で、シンプルな仕組ほど低コストは必然です。大企業ほどニーズ対応できる仕組や体質の改善、本当のリストラが求められます。シンプルなオープンシステムは個別ニーズの本質をより実現しやすい体質だと思います。まだ私はやっとスタートしたばかりですから、自然に基づいて考えればもっと無駄のない、高品質で低コストな可能性がまだ充分あると感じています。社会のエコへのニーズはますます高まる一方で、オープンシステムも自然に適うほど、より感心が高まることと実感しています。

施工実績

居間から和室を臨む
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