オープンネットニュース
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日経アーキテクチュア 2001.4.2号(P.97〜100) 2001.04.04
 
中間マージン排除して建築主に還元
 ●プルーフ・アーキテクツ〜米伊で独自の直輸入ルートを開拓

 京都市の設計事務所、プルーフ・アーキテクツの福留剛代表は、海外資材の調達ルートを独自に開発し、 設計に活かしている。イタリアやアメリカのメーカーなどから直接仕入れる事で中間マージンを排除し、 海外資材を安く入手する体制を築いた。運送費や諸税込みで、国内実勢価格の半値となる製品も珍しくない。
 京都舞鶴市内に昨年5月にオープンした「ホテルマーレたかた」では、15億4600万円の工事費のほかに、 およそ2億円をかけて海外資材を調達し、工事に使った。
ホテルで客の目にふれるもののほとんどが直輸入資材だ。サッシ、内外装材、設備機器から家具や備品に 至るまで、ありとあらゆるものを海外資材で賄っている。
 建築主がイタリアとアメリカから直接買い付ける形で、施工者である鹿島に海外資材を支給した。 その輸入代行業務の一切をプルーフアーキテクツが担当した。
 家具や備品を除く建築工事の単価は、海外資材の購入費込みで坪74万円。「通常は、少しこぎれいな ビジネスホテルでも坪80万円程度になる。このクラスのシティーホテルならもっと高いはずだ。 注文した製品が納期までに届かないなど問題も起きたが、目指した事の7割くらいは達成できた」と、 福留氏は輸入代行の成果を自己評価する。

 ●オープンネット〜会員138社をバックに有利な調達
 建築資材を安く仕入れるには安く仕入れるには、多数の企業が連携する手もある。全国の設計事務所138社が加盟する「オープンネット」(鳥取県米子市)は、その総購買量を背景に、資材を低価格で調達するルートを着々と開拓している。
 山中省吾社長はもともと、自分が主宰する山中設計で、建築工事の分離発注に積極的に取り組んできた。コスト構造の透明化や合理化を図り、建て主の満足度を高めるためだ。
 しかし、一設計事務所でやれる事には限界があった。「そのコストが適正かどうかを判断するのに困る事があった。一事務所ではメーカーとの価格交渉も有利に運べなかった。」(山中社長)。コスト構造を合理化しようとしたら、分離発注だけでは立ち行かない。こうした”業界の壁”を乗り越えるために、98年に複数の設計事務所でネットワークを組む事にしたわけだ。
 実は、プルーフ・アーキテクツはオープンネットの会員だ。オープンネットの会員のプロジェクトであれば、所定の経費を払ってプルーフ・アーキテクツの輸入代行サービスを受ける事ができる。
国内メーカーから直に調達することで、安く入手できる資材も増えてきた。オープンネットが独自の調達ルートを持つ資材は、樹脂サッシ、床暖房、ユニットバス、水性塗料、不織布壁紙など多岐にわたる。サッシや床暖房にいたっては、一般の工務店の仕入れ値よりも安く調達できるというから驚きだ。
 オープンネットは東京海上火災保険の協力を得て、個々の事務所では手におえない補償制度も整備し、分離発注に伴うリスクを回避できるようにもした。連携で得た組織力をさまざまな方面で活かしながら、設計事務所が供給するサービスの質を高めていこうとしている。
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