オープンネット・ニュース 2000.01 Vol.3
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巻頭言から
オープンシステムのミレニアム              (株)フリーダム・リノ 代表取締役/山本一晴

 25年以上前の話になる。日曜画家の会で展覧会に出展する作品の仕上げの最中、たまたま私は横で描いていた男性の作品の「ある」ことに気が付いた。居酒屋風景の作品だが、飲み食いしている人物が全て左利きなのである。彼にそれを指摘すると、「アッ」と言って左手の絵筆を止めた。そう、描いている本人が左利き。そこにいた講師が、耳の不自由な子の描く人物には全て耳が描かれてなかった話を聞かせてくれた。さらに、ものを見る機能について、目の不自由な人が手術で見えるようになっても、しばらくは真っ白な状態で物の形がつかめないそうだと言うのである。
 私達は目に映るあるがままを見ることが出来ると思っているが、実はそうではなく、視神経からの情報は脳に伝達されると、脳が蓄積している情報と照合して認識していくのだそうだ。「幽霊の正体見たり枯れ尾花」はまさにそれで、脳内の蓄積情報が認識し得ない情報に対しては形として形成できないために、幽霊という実態のない物に見えてしまうらしい。
 人はとかく自分の経験の範囲で理解しようとするもの。オープンシステムはそれを乗り越えなければならない。
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