オープンシステムの業務報酬料
依頼主にとっては、とても気になる問題です。 オープンシステムでは、建築士の業務報酬料は実際に要した過去の類似物件を参考に算定しています。設計、監理、マネジメントという仕事は、物を販売してマージンを稼ぐ仕事ではありませんので、人件費を基準としています。 それぞれの項目毎に業務に携わった人日数、1人で3日間なら3人日、3人で4日間なら12人日という具合にはじき出します。この人日数に1日当たりの単価を掛けたものが直接人件費で、所員の給料として支払われます。その他に、事務所を維持するために必要な、家賃、保険料、税金、光熱費、電話代、事務機器やパソコンなどの諸経費、書籍を購入したり、研修会の参加など技術を維持するための技術料を加えた合計が、私たち建築士事務所の業務報酬料となります。 それでは、実例を通して話を進めましょう。以下に出てくる人日数、単価、人件費、諸経費、技術料は、もちろん、それぞれの事務所によって違いはありますが、この事例はオープンシステムの標準パターンとほぼいえるものです。 建築士事務所 業務報酬料の算定 工事名 仮称 山本邸新築工事 構 造 木造2階建て 施工規模 延べ床面積 210u(約64坪) を想定 工事費 3,000万円を目標 (建築費業務報酬料を含む) (延べ床面積は、設計着手前に想定した面積です。実施設計の面積に1割以上の増減が生じた場合は、面積按分によって業務報酬料を再計算し、実施設計完了時に金額の調整を致します。)
設計はサービスで、という施工会社もずいぶんあります。そのような感覚でオープンシステムの業務報酬料を目にすると、エッと思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。この建物で、業務報酬料の額が税抜きで425万円です。 しかしよく考えてみましょう。算定した項目の中には、ハウスメーカーや工務店、いわゆる建築の元請け会社が行っている業務の、ほとんど全てが網羅されています。 ハウスメーカーや工務店は住宅を受注する場合、少なくとも経費を20%、多いところで40%くらい見込むといわれています。それで計算すると、この住宅の場合は、600万円から1,200万円もの金額になります。 ただし、この金額は依頼者に提出する見積書には書かれていないだけなのです。表面上は少ない額に押さえて、実際には見積書の各項目の中に含まれているのです。依頼者提出用の見積書と、実際の工事用見積書(実行予算書といいます)の2種類を使い分けているだけなのです。 オープンシステムで建築した場合は、ハウスメーカーや工務店を介しませんので、その部分の諸経費が発生しません。また、各業種毎に適度な競争の基で見積が行われますので、不当な価格が排除されます。 それだからこそ、オープンシステムのほうが、同じ建物を建築した場合、総工事費が結果的に安くなることが多いのです。 |
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