オープンシステム参考資料
17.事例3 集会施設 1S 230u(第3セクター)
用途 集会施設(淀江町第三セクター)
構造 鉄骨造平屋建て(増築)
規模 延べ床面積 230u
建設場所 鳥取県淀江町
完成 1996年5月
この建物の第1期工事は、設計コンペ方式を採用し、工事予定価格を大幅に上回った。幸い順調に 来場者の増加が見込まれ、すぐ増築が必要にった。増築工事ではなんとか投資額を抑えたかったので、私達の事務所に声が掛かかった。
工事は発注者の意向で、タイプ2が採用された。米子市、淀江町の総合建設会社約100社、専門工事会社約300社に、ファックスで発注説明会の案内を送り、見積参加の意志は、発注説明会参加後に各業者が判断した。
最終的に総合建設会社33社、専門工事会社58社が見積に参加した。見積書は山中設計まで郵送とし、開封は発注者の立ち会いのもとに行った。コストダウン効果がどの程度発揮されるかが、関係者最大の関心事だった。
参考内訳明細書の単価の根拠としたのは、従来の公共工事と同じように、鳥取県建築士事務所協会作成の建築工事積算単価表、歩掛表によった。見積参加業者には、積算数量が入り、単価を伏せた明細書を渡した。それぞれの業者が同じ積算数量をはじき出す労力の無駄を考慮した。
最終的に決定した業者の工事金額と、参考内訳明細書の金額を示す。
事例3−集会施設の決定工事金額と参考内訳金額の比較(単位円)
項 目 決定金額 参考内訳金額
仮設工事 749,510 1,094,154
土工事 723,274 722,764
コンクリート工事 1,190,665 1,369,260
鉄筋工事 336,750 310,172
鉄骨工事 3,226,750 4,489,123
防水工事 119,550 209,110
タイル工事 127,500 138,722
木工事 4,291,040 3,212,475
屋根外壁工事 4,163,260 3,908,544
金属工事 1,345,840 1,724,789
左官工事 929,450

1,380,633

木製建具工事

1,370,200

2,417,000

金属建具工事

1,312,000

1,355,000

塗装工事

774,950

959,602

内装工事

3,112,019

3,325,141

厨房機器

587,200

915,000

家具工事

230,000

145,000

電気設備工事

3,800,000

6,153,870

機械設備工事

7,000,000

9,685,400

諸経費

2,414,873

9,808,911

合 計

37,814,871

53,324,670



95年度の建築土木の市場規模は83兆円。そのうち政府建設投資、いわゆる公共工事は38兆円 あった。ゼネコン疑惑が世の中を騒がし、公共工事における談合問題が指摘されたことは、まだ記憶に 新しいが、長年続けてきた指名競争入札に代わる新しい方式は、なかなか実行されない。

 このようなとき、幸運にも公的な工事の発注業務まで含めた、設計監理の仕事をさせていただく機会 を得た。公共工事、即ち税金によって建てられる建物こそ、本当の適正価格が追求されるべきではない だろうか。民間工事では節約というきわめて常識的な意識が、公共工事においては働きにくいのが 現実である。建築業界の近代化がはかれない要因のひとつは、この辺にあるのかもしれない。



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