Documents | オープンシステムの家づくり〜「F邸の完成するまで」 | ||||||
Chapter:2 | 基本計画 | ||||||
fig_10 | 今までの経緯まとめ | 1999.10.05 |
- 1.配置計画
- 当初、「隣人の視線を避ける為、建物を東側に配置する」(西側は背の高い垣根があり、視界はあまり気にならない。
東側は隣人の生活 道路であり、視線を良く感じる。)という意見だったが、建物のプランをするにあたって、西側は西
日を避けたい為大きな開口は取れない。
したがって、西側に大きくスペースを取るより、東側に大きくスペースを取り、開放的にした方が良い。
又、西側にスペースを開けた場合、「建物の位置は敷地の鬼門にあたり、望ましくない。」という意見もあり、
建物は西側に寄せて計画することに。 ただこの敷地は南側に大きく庭がとれる為、建物の平面計画としては南側に
大きく開口を取ることを意識した。
- 2.プランニング
- ○ 家族が共有する空間(Public)に重点を置く。各寝室に各人が閉じこもるのではなくリビングを中心としたPublicス
ペースで時間の多くを過ごせるスタイルを取れるようにする。
・ LDKは1つの空間として
・ 階段はリビングと同空間に設ける。又、踊り場を利用したフリースペースを設け、子供の学習スペース等として
使う
・ 各個室は、寝室としての機能を果たせば良い程度の広さに
○ LDの空間が大きくなる為、空調効率が悪くなる。
・ 冬場の暖房は、床暖房を採用(ただし予算と相談)
・ 夏場の猛暑の時期は空調機に頼ることになるが、それ以外の時期5月末〜7月初、9月末〜10月初の比較的
気候の穏やかな時期は、海側より吹く風を利用したい。
この地域は昼間は北側から海風、夜間は南側から陸風が吹くことが経験上わかっている。その風を建物内に
うまく取り込めるよう計画した。
南北に開口を多く取り、リビングを中心として南側を意識したプランとした。
全ての居室に風が取り込めるようにしたいが、コスト等の問題があり、リビングとダイニング、リビング部のフリ
ースペースに重点を置いた。
○ リビング北側の採光
「リビング北側の採光が少ないのでは?」という懸念があった。
リビング北側に開口部はあるが、直接太陽光は入ってこないので、南側に比べると少ない。フリースペース上
部に開口を設け、更にリビング上部に天窓を設ける。
当初の計画案1階平面図 2階平面図
○ 玄関の位置と各居室の配置
当初の計画案では、建物北東の位置(風水で鬼門となる位置)に玄関を配置していた。
これは、配置計画で建物東側に駐車スペースを確保すると決定したため、降車又は乗車時に玄関と車との
アクセスの利便性の向上と、南側に居住空間を配置することを意識した提案であった。
しかし、鬼門の位置に玄関があるのは望ましくないという意見から、さまざまな議論を重ねた。
その結果、住まい手の意見を尊重すべきだと判断し、玄関の位置を変更することに。
当初案のダイニングの位置に玄関を設けると、車とのアクセスにはあまり問題はないが、南東という条件の良
い場所が居住空間ではないのはもったいない。
そこでリビングと、1階居室との間に、玄関、玄関ホール、トイレ等を配置した。
しかし、当初打合せでの”LDを中心とした各居室の配置にし、各居室へのアクセスはLDにいったん入ってか
ら” という部分が崩れることになる。
その点については、
「必ずしもリビングに居室が接している必要はない」
「夜遅い来客があった時、客間としても使うリビングで会話をしていたら、すぐ横の部屋では眠れないのでは」
「家族が帰宅する時間がバラバラなので、1階の居室で誰かが寝ている時にテレビ等が見れなくなる」
等の意見を交換した。
これらの意見から、1階の居室は玄関ホールを隔てて配置し、1階の居室を使用する人の安眠の確保という
点を採用した。2階の居室はリビングと吹抜を界して接するようにし、台所での作業中などに2階の様子が伺
えるようにした。
2階居室は当初夫婦居室1室、子供室1室として子供室は広めにとり、間仕切り家具によって間仕切りとして
代えるという提案で進んでいたが、面積が大きくなりすぎる為、夫婦居室を8帖、子供室6帖とした。これは、
将来家族構成が変わった時を想定しての決定。又、夫婦居室と子供室を広い空間1室にまとめるという案も
出たが、2人の子供が小学校高学年〜中学生になった時、両親と寝ることには抵抗があるのでは?という意
見があり、結果としては夫婦室と子供室は分けることにした。
当面のうちは子供が小さいので、夫婦居室で寝ることになるだろう。
子供室には机は置かず、机はフリースペースに造り付で配置する。
フリースペースは学習。子供室は寝室という使い方となる。
○ キッチンの計画
キッチンスタイルは対面式。それもダイニングに対しての対面というだけでなく、リビングに対しても対面し、む
しろそちらの方を向いて家事をしたい。
という強い希望があった。食事は家族みんなでとり、食事を作っている間はリビングでくつろいでいる家族を見
ていたいという理由だ。
当初はこれを実現するにあたり、L型システムキッチンの採用を提案した。
しかし、懸念事項が2つあった。
1つはシンクの大きさ。もう1つは生ゴミを捨てる方法。
生ゴミの処理については、現在はキッチン正面に、外部にあるごみ箱へのダクトシュートが設けてあり非常に
便利。
しかしこれを採用する為には、対面式キッチンはまず無理。システムキッチンにビルトインで組み込むことも提
案したが、ビルトインにするとキッチンの収納スペースが狭くなる。収納スペースを優先させたいし、対面式キッ
チンはぜひ実現したいとの意見から、台所近くに勝手口を設けその近くにゴミストックボックスを設けるまでとし
た。
シンクの大きさについては、詳しい内容は議事録などを参照していただきたい。
結論としては、リビングに対面する形でI型キッチンとし、ダイニング側には配膳カウンターを設けた。
○ その他
・ 階段は当初の計画通りに、リビング内に配置した。
・ 仏壇、床間は一般的には和室を設けそこに配置するが、
「リビングに仏壇があっても、別に構わない。むしろその方がいい。」
という意見、又規模等の制約などからリビングに配置した。
1階平面図 2階平面図 南側 北側